ラキール:御社は今めまぐるしく環境が変わり、理想の組織像や求められる人材像は、従来とは少し変わってくるのではないかと思います。会社の方向性を浸透させて、社員と一丸となってDXを進めていくための工夫がありましたら、教えてください。
立田様:
信頼構築には良薬はないと思っており、やはり地道な行動に尽きます。例えば、台湾に基幹システムを導入する時に、台湾の新工場設立いうプロジェクトが同時に走っていました。つまり現地の人たちは、新工場の設立準備をしながら基幹システムの導入についても検討し、作業や準備をするという状況でした。さらに悪いことに、導入プロジェクト開始直後に台湾国内でもコロナ感染が拡大したため、当初は現地で導入作業するはずだった導入業者も現地には行けず、リモートでの対応となりました。こうしたことから、当社のIT戦略グループ員2名を現地駐在させ、支援していくこととしました。このときの話をその二人に聞くと、打ち合わせでは現地の人から色々なことを言われたそうです。現地もやはり相当大変だったのだと思いますし、その二人も本当に大変だったと思います。
ただ、そうは言ってもなんとかプロジェクトは進めるしかなく、IT戦略グループからの2名、現地の担当者、またリモートではありますが導入業者との間で、納得するまで意見を述べ合って、妥協せず議論を尽くしてもらいました。IT戦略グループの2名にとって、現地の皆さんの理解を得る王道のやり方などなく、こういう効果が期待できるから、将来的にはこうなるからと言いながら、ひたすら説得や説明を繰り返し、さらに一緒に汗をかくことによって、徐々に信頼を得ていったと聞いています。
導入途中や導入後さまざまな問題・課題が浮上し、プロジェクトが暗礁に乗り上げそうになったとき、導入のため一番長く駐在したIT戦略グループ員の1人に対し現地スタッフから、「システムのことを知っていて、業務のことも知っているのはあなたしかいない。ここに(台湾)もう少し一緒に居てください」と言われ、本人もこの言葉にはかなり感動したようです。こうなれば、プロジェクトも本人の成長も大成功であったと言えると考えます。このような人材があちこちに出て来て欲しいですし、そういう人材を増やしたいと思っています。私はこれをやろうとか、こういう方向でいこうなどと方針を示し、その環境を用意するので、それを実現してくれるスタッフが不可欠です。
新基幹システム導入プロジェクトでは、スタートした当初は、割と少数のチームでした。まず、システムのコンセプトである「何を目指すのか」を決めるにあたり、「何が問題なのか」を明らかにするため、各会社の状況、各社が何で苦労しているのかを確認するため、業者さん含めて全ての拠点を回り、実態をヒアリングしました。
このプロジェクトを達成することは、IT戦略グループだけでは無理ですので、各部門から人を募りました。所属は変更せず、現所属のままでプロジェクトに参加してもらいました。現行業務との兼務という重圧の中、幸いにも基幹システム導入が自身の業務そのものという意識をもったメンバーが集まり、ここまで順調に導入が進んでいます。
ラキール:IT部門の中にも変化が怖いと思っている方もいると思いますし、慣れている仕事をやっていれば安泰だと思っていた方たちに対して、変化を理解して頂くのは大変ではなかったのでしょうか。
立田様:
人材は育つのを待つというよりも、環境を与えて、その環境で育ってもらうのが良いと考えています。また、信頼できる外部業者からの派遣も積極的に取り入れ、ここまでさまざまな提案をいただき実現を重ねています。
冒頭申し上げたように、18年ぶりのシステム導入ということは、その間、IT戦略グループ員として旧システムの維持管理をしてきた人もいるわけで、そうしたメンバーにとってもこれは新たな挑戦でした。新基幹システム導入や、様々な周辺システムやプラットフォームの整備など実行していくなかで、グループ内部が刺激され、会社全体にもその影響を及ぼしておりグループ全体への相乗効果にまで波及していると思っています。
ラキール:一時的な離職は大丈夫だったのでしょうか。
立田様:
ありがたいことにそうしたことは起こりませんでした。もちろん活動当初は大変だったと思います。私のやりたいことに対し、「なぜそんな急に」とか、「なぜそもそも論からなのか」など、思われていたこともあったと思います。それらメンバーの考えが徐々に局所的な対応ではなく全体最適の方向に変わって来て、さらに自分が手掛けたしくみが完成すると、その効果やユーザーのいい反響が聞こえてきます。そうなると、もっとこうしたい、さらにこうしたいという想いも出てきて、少しずつ面白くなってきたように感じました。
本当にここまで、今までやったことがない課題を目の前にしながら、ポジティブに、また確実に活動してくれたメンバーには感謝しています。
ラキール:今後の展望をお聞かせください。
立田様:
今回はデータの精緻化や合理化というところを中心にお話ししましたが、いかに受注を増やすかとか、攻める方向にシステム自体がいかないといけないと思っています。例えば、過去の成約率はどれぐらいで、どういう状況だったら成約してもらえて、成約できなかった原因は何だったのか、そういうところまで、LaKeel BIを使って、もしくは我々が既に持っているデータベースを解析して答えが出てくる。それにAIを加えて、どういう対応であれば、もしくは何を直せば、成約率が上がっているかっていうのが見えてくると思います。
先ほども申し上げましたが、自分が必要なデータはパソコンを開いた瞬間に見えるというのは必要だと考えています。そこを目指して、まずはやりたいと思っています。そして最終的には攻めのシステム構築ができればいいとは思っています。
(LaKeel BIのダッシュボードイメージ)
ラキール:今は現状の見える化、データの可視化というところに注力し、将来的には、攻めのビジネストランスフォーメーションというところに向かって進んでいる最中かと思うのですが、いつ攻めのフェーズに転じたいと考えていらっしゃいますか。具体的な時期があれば教えてください。
立田様:
当社の経営計画ですと、現時点のターゲットは創業100周年を迎える2027年となります。今から5年先となりますので、その前の2年のスパン、2023年度までの中期経営計画のなかでやっていきたいです。別プロジェクトで実施していた人事システムの刷新も昨年完了しましたし、グローバルで導入中(最終フェーズ)の基幹システムが全ての拠点に導入が終わり次第、基幹システムの仕上げとして連結決算システムを導入する予定になっています。以後はLaKeel BIを含め基幹システムの周辺システムを整備・構築していく予定です。
ラキール:これからLaKeel BIの稼働を迎えますが、その中でラキールに期待していることがございましたら、伺えますでしょうか。
立田様:
基幹システムを入れた後に周辺システムをどう整備するかは大切なことです。サブシステム的な形でやるのか、もしくはツールを導入するのか。実際、そうしたことをやらなければ、基幹システムで期待した効果が出ないと思っています。また、そこに何か一つ、二つ、工夫を凝らさないと、ユーザーの実感として「良くなった」とはなりにくいと思っています。
少し前には定型業務の効率化を行うならRPAなどを入れればいいかなと思っていた時期もありましたが、現場に行って、色々と話を聞いていると、ここで困っていたのか、だからシステムがうまく動かなかったのかと分かることが多く、単純に今の作業を機械化(RPA化)すればいいというものではないということも分かってきました。
基幹システムを導入しても、実際にはシステムとシステムの間を、人が色々手作業で何かやっている、などということも実はありがちなことであり、これを色々工夫して排除していかないと、真のシステム導入とは言えないと思っています。
今回、基幹システムからのデータをより扱いやすく、より活用し、業務の効率化、経営のスピード化を実現するため、LaKeel BIを採用させていただきました。これももちろん、入れたら終わりではなく、これが本当に使えるものかどうかは検証し、各部門でちゃんと使っているかという検証をしていきます。システムの間を人間が繋いで、そこに属人化が生まれてある一定の人以外は操作できなくなる、というパターンにはしたくないので、目標として社員が何も意識せずに、自分がやりたいことが出来る、そういう状態に持っていきたいと思っています。
ラキール:弊社は製品の販売だけではなく、製販一体の会社なので、開発部隊もいますし、サポートする部隊もいます。継続して皆さんにご利用いただけるよう尽力してまいります。
本日は、貴重なお話をありがとうございました!
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