BIツールにはサーバー構築が必要?サーバーが必要なパターンや構築方法のポイントを解説
BIツールを導入する際には、サーバー構築が必要と知り、調査している方もいるのではないでしょうか。BIツールには、なぜサーバーが必要なのか、また自社でサーバーを用意する必要があるケースや構築方法のポイントについて解説します。
BIツールに必要なサーバーとは?
BIツールは、企業が持つ多様なデータを分析し、可視化することで、経営や業務の意思決定に役立てることのできるツールのことを指します。BIツールを利用するにあたって、重要になるのが各種データです。社内にある多様なデータを収集し、格納する場所として、サーバーが必要になります。また、BIツールそのものを稼働させるためのサーバーも必要となる場合が多いです。
さらに詳しくBIツールの仕組みと、サーバーが必要な理由をご紹介します。
◆BIツールの仕組みと、サーバーが必要な理由
まず、社内の基幹システムや業務システムなどから、BIツールで使用するデータを「ETL」によって適切な形に加工した上でデータベース(DWHやデ―タマート)に格納し、そのデータをBIツールで呼び出します。そのデータベース(DWHやデ―タマート)を作るためには、格納場所としてサーバーが必要です。
また、BIツールを稼働するためのサーバーを用意することも多くあります。そのため、BIツール導入の際には、サーバー構築が求められることが一般的であると言えます。
ETLとは:「Extract・Transform・Load」の略称です。Extractは「抽出」、Transformは「変換」、Loadは「書き出し」を意味します。データを活用するためには、分析しやすい形にデータを整理する必要があります。各種システムからデータを抽出して、変換・加工を行い、統合データベースを構築します。データの統合を担うツールがETLです。
DWHとは:「Data Ware House(データウェアハウス)」の略称です。「データの倉庫」といった意味になります。DWHには、データを格納しますが、ただのデータではなく、ETLによって適切な形に加工されたデータを格納する場所です。
データマートとは:データマートとは、データの利用部門や用途、目的などに応じて必要なものだけを抽出し、利用しやすい形に加工したうえで格納する場所を指します。情報が網羅的に格納されるデータウェアハウスとは異なり、データマートはデータを目的や用途ごとに小分けした「マート」(店)というイメージです。
BIツールのサーバーを自社で用意する必要性
BIツールの仕組みを知ると、導入する際には、自社でサーバーを用意する必要があるのか不安に感じる人もいるのではないでしょうか。しかし、必ずしも自社でサーバーを用意する必要があるわけではありません。
先述の通り、BIツールには、データベースのためのサーバーと、BIツールを稼働するためのサーバーが必要です。サーバーにはインターネット上に構築するクラウド型と、自社サーバーに構築するオンプレミス型があります。
一般的にオンプレミスサーバーのメリット・デメリットとしては以下のような点が挙げられます。
【メリット】
・社内システムと連携しやすい。
・外部のネットワークが繋がっていないためセキュリティが高い。
・社外で発生したネットワーク障害の影響を受けにくい。
【デメリット】
・初期費用が高い。
・保守、管理の手間がかかる。
・ハードウェアの拡張がクラウドに比べて困難。
一方、クラウドサーバーのメリット・デメリットとしては以下のような点が挙げられます。
【メリット】
・初期費用が低い。
・保守・管理の手間がかからない。(サーバー構築等をベンダーに任せる場合)
・ハードウェアの拡張が容易。
【デメリット】
・オンプレミスサーバーと比べて社内システムと連携がしづらい。
・社外で発生したネットワーク障害の影響を受ける可能性がある。(AWS障害が発生した場合等)
データベースのためのサーバーを自社で用意し、BIツールを稼働させておくサーバーをクラウドで賄うパターンや、逆に、データベースをクラウドで、BIサーバーは自社で用意することもあり、企業の状況によって様々です。
どちらかのサーバーをオンプレミス型とする場合、自社でサーバーを用意する必要がありますが、クラウド型では、一般的にBIツールを提供する業者側が用意してくれるので、自社で用意する必要はありません。
つまり、BIツールを導入するにあたり、どちらかのサーバーをオンプレミス型とする場合のみ、自社でサーバーを用意することが必要になります。
BIツールのサーバーを構築する上で必要なポイント
では、BIツールを導入する場合、どのようにサーバーを構築していけばいいのでしょうか。ここでは、データを格納するためのサーバーの構築手順のポイントを解説します。
1サーバーを用意し、対象データを集めて、DWHを構築する
BIツールで分析したい対象となる各種データを社内から集めてサーバーに格納します。このときETLの仕組みを通してデータを抽出、加工し、サーバーに蓄積することで、DWHを構築します。サーバーはオンプレミスにするのか、クラウドにするのか、どの程度のスペックのサーバーが必要なのかなど、扱うデータ量や要件によって用意すべきサーバーを検討します。
2分析のためのデータベースを構築する
続いて、BIツールで分析するためのデータベースを構築します。一般的にBIツールに使われているデータベースは、キューブと呼ばれる多次元データベースと、データマートを採用したリレーショナルデータベースがあります。
●キューブ(多次元データベース)
キューブとは、エクセルの表データのように「X軸」と「Y軸」の2次元方向のデータベースではなく、もう一つ「Z軸」などを持つ多次元的なデータベースです。
●リレーショナルデータベース
リレーショナルデータベースとは、表形式の複数データを関連付けて使えるようにしたデータベースです。BIツールでは、「データマート」と呼ばれるデータベースを、リレーショナルデータベースとして実装し、出力レポートごとにデータマートの作成を行うようにします。
データマートは、簡単に言えば、社内にある各種システムからのデータの中から、目的に応じて一部だけを取り出したデータベースです。必要な情報のみを保管するため、情報の取り出しが早いことから、分析結果の描画を素早く表示するための用途で使用されることがあります。つまりBIツールのダッシュボードの画面表示速度が上がります。
3セキュリティ設定を行う
サーバーやデータベースが構築できたら、セキュリティ設定を行っていきます。
不正アクセスを防ぐ設定や監査証跡の設定などを行うとともに、アプリケーション側では、分析を行うキューブやリレーショナルデータベースのほか分析結果レポートなどに対して、閲覧権限を付与するかを決めるアクセス制御の設定、データのダウンロードの可否を決めるダウンロード制御の設定など、様々な設定を行います。
そもそも社内データは機密情報であり、分析結果はさらに質の高いデータです。社外に漏れることがないよう、入念にセキュリティ設定を施すことが重要です。
4各種システムからDWHへのデータを定期的に取り込む仕組みを作る
DWHに取り込んだ各種システムからのデータは、以後も更新されていくため、定期的にDWHに取り込む仕組みが必要です。管理サーバーを設置して、ジョブ設定を行い、定期的にデータをDWHに取り込む仕組みを構築します。
まとめ
BIツールを導入する際には、オンプレミス型の場合、自社でサーバーを用意する必要があり、DWH構築やセキュリティ設定などのサーバー構築における作業は、オンプレミス型、クラウド型ともに必要になります。今回ご紹介した内容は一般的な概要ですので、参考程度に留め、実際の構築の際には、自社の要件によってご検討ください。
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